献立の「あと1品」に悩むことがよくあります。
リストを見ればすぐに解決するのだけれど、たとえば献立を決める時間もなく出かけて、その場で買いものをすませたいようなときなど。

困ったときは「油揚げ(できれば油抜き不要)」と「たまご」の2つを買えば、かんたんにあと1品が完成します。材料2つ、火を使わず3分で完成する「信田卵」の作り方をご紹介。



先週の課題料理本で「信田卵」というおかずを知りました。油揚げに卵をつめて出汁で煮込んだものです。材料2つででき、工程もかんたんなのですが、もっと簡単にしたいなとおもうところが。

それは「火を使うこと」「煮込み時間が多少長いこと」です。

そこで、レンジでかんたんに作れないかと試してみたら、十分においしくできたのでご紹介したいと思います。

今日、8月14日のとっておき家事は《信田卵を簡単に作る方法を考える》でした。


信田卵の作り方

材料:(1人分)
 油揚げ  1/2枚  ~できれば油抜き不要のもの。違う場合は油抜きが必要です~
 たまご    1個

 出汁または水 大さじ1

道具:爪楊枝、ラップ、ボウルなど耐熱容器



①油揚げを半分に切る。

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②卵を中につめ、楊枝で留める

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※こつがいるけれど、直接割り入れてもOK。洗いものが1つ少なくなります。

③出汁(大さじ1)を加え、うえからラップをかぶせて、レンジ500Wで1分半~。

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このときは、白だし+塩+水です。


食べ方

そのまま食べたり、ぽん酢をかけたり。

鍋で作ったときは、余った出汁で煮びたしを作り添えていました。鍋の場合、煮込み時間が長くなる(15分~)のと、鍋を洗うことになるのと、ちょっぴり手間は増えますが、とてもかんたんです。

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これは、わが家のすっぴんレシピ(素材として用意している常備菜)から、
・肉だね (豚ひき肉を炒めて、塩をしただけ)
・蒸しキャベツ
と合わせて、ぽん酢をかけたもの。

【チャーチャー】という料理にヒントを得ています。

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レンジで作れるととってもかんたん。

1分半だと、中の黄身は半熟よりもう少しとろとろな状態。
お好みで調節してください。

しっかり火を通して、固ゆで状態になっていれば、お弁当にも良さそうですよね。


365日のとっておき家事 Story 『ヒロインの親友』

8月14日 夕日

▼0話目を読む/1日1話目安で更新しています
http://blog.livedoor.jp/rincaji/archives/20162017.html




企画部に配属されたその日、出張で空席になっていたその机から最初に抱いた印象は「寒々しい名前の人」だった。彼の名は片山冬吾。その名前に限りなく白に近い、薄氷のような透きとおった水色のイメージを持った(※1)

会ってみると、二重のくっきりとした大きな瞳をしていて、硬質な感じの肌にすっと通った鼻筋、薄い唇と、華やかな印象のなかにどこか儚い印象をともなう人だった。

3つ年上の彼は私のOJT担当で、やがて婚約者となった人だ。


大晦日の夜、結婚の挨拶をかねて一緒に彼の実家へ赴いたとき。
夜中のお参りが風習なのだと連れて行かれたのは、千字教団という一種の新興宗教の神殿だった。そこでは人々が怪しげな歌をうたいながら踊り狂っていた。その異様なメロディに歌詞、雰囲気。やがて登場した教祖の言葉。

なにもかもが、がんと私の頭を打ちつけた。
自分は華やかなことにも、大それたことにも、縁のないまま一生を送っていくのだと思っていた。つまらないと思いながらも、ほんとうはそれを望んでいたのだと、そのとき知らしめられたように思う。

そこから逃げ出して、たまたま通りかかった姉弟に拾われたわけだけれど、それから半年と少ししか経っていないのに弟のほうである航くんと結婚し、子どもまで授かったのだから、人生ってなにが起こるかわからない。


「エリカ、久しぶりだね」

片山冬吾は口の端を少しだけ上げて言った。やわらかいトーンの声だった。
目を合わせないようにしていたけれど、その声色に引きつけられるように、顔を上げてしまった。どんな顔をしていいのかわからないようでもあるし、あるいは、もっと不気味ななにかがあるようにも思える、そんな表情だった。

私が黙ったままでいると、彼は縄をほどき、口に巻かれた布を外し、後ろを振り向かずに「葛西さん」
とぴしゃりと言った。

「単独行動は、教団の和を見出します。師の教えにはないはずですが」

貴美恵の顔がざっと青ざめた。魚のように口をぱくぱくとさせて、声が出ないという感じだった。

ややあって、貴美恵は髪の毛が床につきそうなくらいに頭を下げて「申し訳ありませんでした」ととぎれとぎれに言った。

「ただ、私は冬吾様のために...」

「僕のため?」

私は彼の顔を見ることができなかった。氷のような声で彼は笑った。
ややあって、貴美恵は真っ赤な顔をして、深々と頭を下げると少しずつ後ろに下がり、ドアを開けて飛び出していった。

冬吾さんは、まだ笑っていた。
それからこちらに向き直って「僕たちは、いや、……俺たちは」と言いかけた。その目に一瞬涙が浮かんだように見えたけれど、すぐに手の甲でどこかへ押しやられてしまった。

「君の家に連絡をしてある。だから、心配しなくていい。
今日のことは警察へ届けても、届けなくても、どちらでもいいよ。気になるなら、俺のほうでしておこう」

埃っぽいカーテンを彼は一気に引いた。気づかなかったけれど、半地下になっていたのだった。赤い夕日の光が、滴りおちるように部屋のなかに水たまりを作っていた。

「悪かったね」

振り返らずにそうつぶやくと、冬吾さんは出ていった。
私は、自分の気持ちの奥底に押し込めたいろいろな感情が湧き上がってくるのを押さえられなくなり、声を殺して泣いた。


1年前、ちょうどこんな日だった。彼が私にプロポーズをした。海辺で、赤い夕日に染められた波打ち際を手を繋いで歩きながら。
すぐにうなずき、抱き合って喜んだ。彼の部屋へ行くと、食卓には花が飾られ、朝から仕込んでくれていたらしい、手作りのフランス料理が並んでいた。残業続きの週で、これを用意するのにどれだけ時間をかけてくれたのだろう。

そう思ったら、彼が私のためにさいてくれた時間が愛おしくて、ほんとうに幸せだと思ったのだ。


※1:すっかり出てきていなかった設定なので捕捉。エリカには「共感覚」があります。文字や音やにおいなどに色を感じるというものです。

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最後までお読みいただきありがとうございました。
今日も素敵な1日になりますように。


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