この記事では、2週間以上の長期保存ができるものを作ったとき、冷蔵庫のなかで忘れられてしまわないようにするための「オリジナルラベル」について書いています。
テプラを使用し、透明テープに印字。書き方と貼り方を少し工夫してみました。


今日、4月30日のとっておき家事は《手作り調味料のラベル作り》でした。

『パクチー醤油』をむだにしないためにやってみました。


*目次*
 今日のとて家事ノート
 みんなのとて家事3選
 家事小説:『√365』ー影のさざ波ー



今日のとっておき家事ノート
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☑中身、消費期限、用途の3つを記載したラベルです。

☑消費期限は「作った日から~日」という書き方ではなく、きちんと日づけを入力することで使い忘れ防止に。

☑貼りつけるときは、両端を1度折り、粘着面を内側にしまった状態で貼る。こうすることで剥がしやすくなる。

☑多少手間ではあるので「長期保存(2週間以上)」のものに限って作成する。


▼使用アイテム



そのほか、作りおきした常備菜や、下ごしらえした野菜などを、何がどれだけ入っているのかわかりやすくするアイデアについても考えているところです。

いくつか思いつくことがあるのですが、すべての容器に応用することはできなさそうなので、テプラで目印をつけるのもやってみるか、悩んでいます。

みんなのとて家事3選










『√365』影のさざ波

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CharacterDesign & Illustration : イラストレーター・ねこがえるさん


▼0話目/目次
http://blog.livedoor.jp/rincaji/archives/route365/0.html



ーー影って、こんなだったかしら。

児童遊園の砂場で、息子と近所の女の子が遊んでいるのを眺めながらふと思った。



砂場を囲むように立つ大きな3本の木。その影になっているこのベンチはとても涼しく、上着を羽織らないで来た私は、時折、自分の体を抱くような格好になっていた。

この公園は家から一番近いのだけれど、同じくらいの年ごろの子どもがいることはほとんどなく、うちと、あの子だけだ。
とはいえ彼女たちを見かけるのも、ここ最近はなかったような気がする。

「ここ以外の公園も行かれるんですか?」と、思い切って切り出した。
私だけでなく、彼女の母親もまた内気な性質のようで、私たちの間にはいつも、気まずい沈黙が流れていた。
だから、何度も顔を合わせているけれど、彼女のことをほとんど何も知らなかったのだ。

「最近、あまりお見かけしないから」と続けたあとで、踏み込みすぎただろうか、と少し後悔した。
「実は、春から働きはじめたんです。月曜日がお休みなので、そのときしか来られなくって。ーーああ、そういえばずっと雨でしたね。……そう考えたら本当に久しぶりに来ました」と、彼女は笑った。
ふわっとカールした栗色のロングヘアが揺れた。まだ20代前半だろうか。

「そっか、お仕事と子育ての両立って、やっぱり大変なんでしょうね。少し慣れてきましたか?」

そう言いながら、口角が上がりきっていないことに気がついた。


「そうですね……、朝がバタバタしちゃって。夕飯の準備もままならなくて、お惣菜やレトルトばかりになっちゃってるんです。そういう意味では、自分のことが不甲斐ないなって思うときもあるけれど、でも、なによりも仕事が楽しくって。
ーーあ、あかり!」

あかりちゃんは砂場に飽きたらしい。遊具のほうへ駆け出し、彼女もまた、砂場を離れていった。


静かだ。風の音と、鳥の声しか聞こえない。
息子は相変わらず、黙々とバケツの水をじょうろや、ほかの道具に移し替える遊びを続けていた。

ふと、砂にもじょうろにも、息子の頬や手の甲にも落ちる、影に目がいった。3本の木々の、葉が重なりあう部分に、いくつもの薄い影の層ができている。さらさらと揺れるそれは、水の底に映る、光と波の影に似ていた。



ふと、昨夜の喧嘩を思い返す。夫とこの話題で揉めるのは、もう何回目になるのだろう。
私の働きたいという願望のことだった。

子どもは母親のそばにいるのが一番。それが彼の考えで、保育園に預けるのは「かわいそう」なことなのだそうだ。彼自身、専業主婦の義母に育てられ、おやつは毎日手作りで、ごはんも彩りや栄養バランスがきちんと考えられたものばかり食べてきた。毎日公園に一緒に出かけるのが楽しかったことも覚えている、という。

私が働くメリットも、何度も伝えた。保育園に預けることで子どもにあるかもしれない変化についても、調べたり聞いたりした範囲でのメリットとデメリットをそれぞれ伝えた。
でも、説得できないまま入園の申込期限が過ぎ、4月になっても、私はこうして毎日家とスーパーと公園を往復するだけの生活を送っている。去年も同じことだった。

日だまりの中で子どもと遊ぶ彼女の表情には、余裕が感じられた。先月まではいつも、ぐったりと疲れ切った顔をしていたのに、血色も良く、子どもにかける声のなかから棘が抜けていた。


こういうとき、考えずにはいられないのだ。
もし、あのとき違う選択をしていたら、と。たとえばはじめて付き合った星くんと、けんか別れしなかったら? 遠距離になるとわかっても、高校のときの彼と別れなければ? 夫からの告白を断っていたら?

過去に戻って、昔の恋人といっしょに違う人生を生きたいわけじゃない。
だって、今の私はきっと彼らを美化しているだけだから。実際にそうした人生を歩んでみたら、いやなことなんて山ほど出てくるのだろう。

でも、もし別な道を選んでいたら、今どんな暮らしをし、何に悩み、悲しみ、喜んでいたのだろう。ただ純粋に、気になるのだ。想像してもちっともイメージが湧かないから。



「あの、……よかったら、連絡先を交換しませんか?」

ふと顔を上げると、彼女が立っていた。砂場道具もいつのまにか片づけてあり、すでに帰り支度を済ませたらしかった。

連絡先を交換すると、スマートフォンに「星きらら」という名前が表示された。

「星さんっていうの?」と、やや面食らって聞くと、彼女はふわっとしたほほ笑みを浮かべて「変わってますよね。旦那さんとはじめて会った時、私も驚きました。福島の名字なんです。私の名前もあって、すごくキラキラした感じになっちゃってますけど、気に入ってるんです」と、ひと息で言った。

まさかね、と、脳裏に浮かんだ考えを追い払い、私たちも帰宅の準備を始めた。



ふと砂場のほうに目をやると、影のさざ波はまだ美しく揺れ続けていた。胸をぎゅっと掴まれたような気持ちになった。まだ春だというのに、耳元にヒグラシの声が降り注いでくるようだった。

星くんと別れたのはこんな場所だった。風が少し冷たくて、公園の日陰のベンチで、彼が上着をかけてくれた。些細なことで言い争いになり、私ははじめて「それなら別れる!」と言った。心にもないことだった。ただ引き止めてほしいという、子どもじみた行動だった。

そして、私たちは終わった。素直になれないまま卒業し、たまに思い出しては胸の痛みを感じていた。年々、その痛みは小さくなっていったけれど、本当は、今もまだ、痛むのだ。

あれから私は、その場の感情に任せてなにかを決めることをやめた。



スーパーに立ち寄ったものの、いろいろなことを思い出しすぎたのか、頭が働かなかった。
とりあえずアスパラと厚揚げと、えのきと、にんじんと、豚肉を買って店を出た。

これはいつもの肉巻きの材料。厚揚げを包むとボリュームが出て腹持ちがいいし、にんじんとアスパラで彩りを添えられる。そしてくせのないえのきの肉巻きは夫の好物だ。味つけはニンニクバター醤油。
自分のために作るのならば、あっさりした塩レモン味が好きだけれど、「酸っぱいのはいやだ」と彼が言うので用意できない。



19時。帰宅した夫はドーナツの入った箱を持っていた。
私たちは特に言葉もかわさず、夫がシャワーを浴び始めたタイミングで、材料を切って巻いておいた肉巻きをフライパンで焼き、配膳をはじめた。そして一緒にテーブルについて、肉巻きをほおばった。

これは、喧嘩をしたときの、いつもの、暗黙の儀式だった。きちんと謝ることはしない。でも、お互いになにか贖いをするということ。


いつも通りの私の様子に、夫はすっかり安心しきったらしく「ビール持ってきてくれる?」と言った。肉巻きのタレがたっぷりついた皿にお茶碗を重ね、お笑い番組を見て笑っている。それが終わるとスマートフォンに没頭し、声をかけても返事がなくなった。


私は大きく深呼吸をした。そして母子手帳などをしまっている”大事なもの引き出し“の奥から、折り畳まれた離婚届を取り出し、夫に渡した。
夫はうるさそうにイヤホンを外し、手渡した書類に焦点をあてたまま硬直し、ややあって「昨日のことなら……」としどろもどろになり、言葉をつまらせ、眼鏡の位置を何度も戻した。

「昨日のことだけで、こんなことはしないわ。そうじゃないのよ」

喉の奥が熱い。声はうるみ、かすれて消えていった。
子どもが生まれてから、何度も叫びだしたかった「別れたい」という言葉。これまではぐっと飲み込んできた。そしてよく考えた。想像した。反省もしたし、いろいろなことを調べたり、聞いたりもした。

ーーこれは決して、一時の感情に流されたわけじゃないのだ。昨日のことは、これを渡す時期を早めただけに過ぎない。



私はまた、分岐点に立っていた。


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【Q&A】 ---このブログについて---

Q. このブログは、どんなブログ?

このブログのキーワードを3つに絞るとしたら、「とっておき家事」「ノート術」「時間術」です。
私が「とっておき家事」で行った内容と気づきがおもな更新内容です。なるべく読みものとして楽しんでいただけるよう、心がけています。

Q.だれが書いているの?

三條 凛花(さんじょう りんか)といいます。整理収納アドバイザー1級の資格を保有しています。コラムやエッセイを書くのがおもなお仕事です。
ほんの数年前まで、足の踏み場もない部屋に住み、日々の家事もままならない状態でした。そこから自力で脱出し、人並みに家事ができるように。今の私にとって、家事とは「心を整えるツール」と呼べるくらい、かけがえのないものになっています。(もちろん、面倒だ!と思うときもありますが)
そのため、このブログでは掃除術やお料理術などを紹介することはほとんどありません。家事そのものというよりも、どうしたら家事が楽しくラクになるのか? というヒントを日々研究していくブログだとお考えください。

Q.とっておき家事とは?

とっておき家事は、1日ひとつ、ふだんの家事に加えて少しだけ特別なことをするものです。「家事」とついていますが、どこまでを「とっておき家事」と設定するかの線引きは自分で決めます。私は「家事=イエのコト」とし、家で行うこと全般や家族のことなど幅広く取り組んでいます。さらに詳しく知りたい方は、著書『
365日のとっておき家事』をご覧ください。また、ほかの方の実例はtwitterのハッシュタグ「 #とっておき家事 」をご参照ください。

Q.とて家事ラボとは?

「とて家事ラボ」は、とっておき家事に挑戦してみたい読者さんをサポートするために作った無料のグループです。次回の募集は2018年12月です。


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最後までお読みいただきありがとうございました。
今日も素敵な1日になりますように。



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