いまから10年前──。
わたしは大きくなってきたおなかを抱えて家じゅうのものを捨てていた。時期もちょうど今ごろ。11月下旬のはなしだ。
一つごみ袋に入れるたび、粗大ごみとして分けるたび、ちくりと胸を刺す痛みがあった。買ったものをほとんど使わずに捨てる罪悪感。そして、買うだけ買って満足してしまい、続けることができなかった情けなさ……。
家族がひとり増えるにあたって、東京の13畳ほどのワンルームは狭すぎて、子どものころから集めてきた大量のものを捨てざるを得なかったのだ。
「いつか」なにかに使えると思って取っておいたボタンやビーズ。
「いつか」おしゃれにデコったライフログノートをつくろうと溜め込んでいた、思い出のチケットたち。
「いつか」使おうと思って、十数年前からだれにも出されずに家に置かれたままのポストカード……。
ぜんぶ集めるだけで満足して、続かなかったものたちだ。
それを捨てることは、自分のこころや当時の思い出まで切り分けて捨てるような気がして、無性に淋しい気持ちになった。
「一生、このままなのかな」
これから母親になるというのに、コンスタントに物事を続けられないこの性格は致命的なのではないか……そう思うと不安だった。"きちんと”過ごせる未来が、見えなかった。
すっかり日が暮れてきて、暖房を切った部屋のなかは、雪が降るみたいにしんしんと冷えてきた。ぺたりと座った床の硬質な冷たさも、すっかり淡くなったけれど、まだ、記憶に残っている。
そうしてわたしは猫を抱きしめた。
わたしの人生も、思えばそういうものだった。
部活も習い事も、なにをやっても続かない。一途になにかを極められる人が眩しい。ずっとそう思いながら、意識をあちこちに散らしては、途中で投げ出してきた。
あのころ、おなかの中にいた娘は、来年10歳になる。
わたしはもう、自分の飽きっぽさを恥じていない。ひとつの "ギフト” なのだ。今ならそう言い切れる。
あのころなにも続かなかったわたしは「なんか長く続けてる人」と認知されるようになった。
たとえば、まもなく毎日更新が4000日目になること。
1日ひとつを目安に、ふだんと違う家事を行なう「とっておき家事」という試みも、365個✕11年分を超えた。
1年契約のオンライン講座では216時間も受講した。
なにも続かなかったわたしが、である。
では、わたしはどうやって物事を続けているのか。
そんな話が「エッセイ」というかたちで本になる。
インプレス様より11月末に発売される書籍『気まぐれギフト』は、わたしにとって、約5年ぶりの新刊となる。
11月28日(金)、発売。

今回はかなりチャレンジをしていて、エッセイと実用書を組み合わせた、クロスカテゴリ的なものとなっている。
文字がメインでいままでの書籍とはかなり違うけれど、今までと同じように、だれかの日々をそっと照らすものになってくれればうれしいと思っている。
さて、この本は3部構成になっている。
第1章ではまず、「ギフトアニマル診断」を受けてもらう。
ここで、あなたの「気質」について解き明かしていく。これはぜひ結果を教えてもらえたらわたしもうれしい。
第2章では、「続ける」についてかかりやすい"呪い”をほどいていきたいと思う。さらに、続かない原因を取り除くためのヒントや、集中力をキープすることで「続けやすい環境づくり」のテクニックも紹介する。
第3章では、「続ける」ためのこころの持ち方について、家事ブログを毎日更新しながら研究してきたさまざまな気づきとテクニックを詳しく綴ってみた。
こんなふうに本書では飽きっぽいわたしなりの「続ける技術」をあますことなく公開しているので、楽しんでもらえるとうれしい。
まずは、紙の本の入手方法について紹介する。
1.Amazonで注文していただく方法
「オンデマンド(ペーパー・バック)」を選択。
これなら1、2日でお手元に届く。
2.書店での取り寄せ
Amazonアカウントがない方は、書店で取り寄せることも可能。ただし、お届けは数週間とかなりおまたせしてしまう。なお、12月初旬以降の注文受付となるので注意が必要。
書店での取り寄せ方法:
書店店頭で3つの情報を伝えていただくかたち。
1.出版社名「インプレス」
2.署名「気まぐれギフト ~飽きっぽい私がたどり着いた"続ける”とのつきあい方~』
3.ISBNコード(注文ができるようになったら次第追加します)
そして注文、取り寄せの処理に慣れているできるだけ大手のチェーン店でお願いするのが良いそう。
電子書籍はこちら。
Amazon↓
気まぐれギフト 飽きっぽい私がたどり着いた“続ける”とのつきあい方【電子書籍】[ 三條 凛花 ]
この記事を書いている今は23時。
ついさっきまで、子どもがねむったあとに冷凍ストックをつくっていた。
食パンに切れ目を入れて、薄くマヨネーズを塗り、チーズをかぶせる。ラップで一枚ずつ包み、さらに保存袋に入れた。
橙色の手元灯。
静かな夜のリビング。
いつも2階で過ごしているから新鮮だった。
たくさんのアイラップを、すぐに詰めやすいように口を開いて設置した。箱に並べた野菜を、効率を考えながらカットしていく。玉ねぎ、ウインナー、ピーマン、マッシュルームが入ったナポリタン・キット。
牛肉、玉ねぎ、マッシュルームを入れてケチャップで和えたハヤシライス・キット。豚こまとキャベツの和風煮になるもの。残りはスープに。
ふだんなら、やっとできたひとり時間をフル活用したくって、この時間帯には散らかってても家事はしない。
懸念していたとおり、わたしは、コンスタントに家事をこなすことはできないのだった。
落差がある。
でもいまこのタイミングは、家のなかのさまざまな不便さを解消することに凝っている。たのしい。
そしてたぶん、早くて数日、長くても数週間で飽きる。
たくさんつくったストックは、そう遠くないうちに来るなにもしたくない時期──「冬眠期」にきっと役立ってくれると思う。あるいは、その前に、このストック作りが習慣になれば、またすこし、家事がしやすい環境が整っていく。
このくりかえしで、できるときと、できないとき。
その落差が、年々すこしずつ埋まっている。
むりして自分を根本から変えるのではなく、今の自分の伸びしろを最大限に生かして、楽しく過ごしていきたい。
そんなふうに思いながら、リセットしたキッチンを見て、電気を消した。
